登山者駐車場から「勝山美しい森」ビジターセンターまでは歩いてすぐ。まずは案内図を見る。
センター横に登山口を見つける。午前8時30分。いよいよ土を踏みしめて歩を進める。
木々の緑が県南の山とはまったく異なって、柔らかい緑だ。空気が違う、光が違う。耳に届く小鳥のさえずりも新鮮に聞こえるようだ。
足元に早速可憐な花を見つける。
チゴユリ(稚児百合)だ。
この花、あちこちで群生していた。
珍しい花を見つける。調べてみるとタチシオデ(立牛尾菜)らしい。
スマホ画像ではよくわからないが、資料写真では星状の花。まるで線香花火が最後のにはじける火花のようで綺麗だ。
登り道はどうしても足元近くに眼をやることになる。
背の高い白スミレと、背丈の低い菫色のスミレ。
登山道は結構きつい所もあるが、総じて登りやすかった。
黄色い花はイチゴ?
空気はさわやか、鳥の声もしきりと耳を慰めてくれる。一番よく啼いてくれたのが鶯。そして時々”ポポ! ポポ!” とツツドリ。このさえずりは繁殖期のオスの声だそうだ。
僕の好きなタニウツギ(谷空木)、まだ蕾のままだ。
アケビ(木通)も咲いている。わが家の庭には小鳥が種を落としてくれるのか、ちょこちょこ生えて来るアケビは三つ葉だが、これは五葉だ。
マムシグサ(蝮草)。茎の模様が蝮に似ているためにこのように名付けられたとか。
こんなマムシグサにも花言葉があり、「壮大」。なんだかぴんと来ないなあ。
振り返ると山並。
随分と登って来たもんだ。
ホトトギス。秋を待ってホトトギス鳥色の花を付ける。
やっとここまで登ってきた。
歩き始めて既に1時間20分、頂上まで20分とあるが、さて・・・?
この山で一番出会いの多かった花がこのダイセンキスミレかチゴユリだ。
20分も歩くと大岩が待っていてくれた。
岩の上に上って、今来た下界を見下ろしてみよう。
遠望がきく。山並を見下ろす気分は爽快だ。
パノラマ撮影を試みる。
大岩からは近かった。
やはり頂上に立った時の爽快さは何とも表し難い。
昼飯には早いので欲張ってもう少し歩くか。櫃ケ山への縦走路を扇山まで30分の行程だという。
頂上からの眺望を示した案内板。
この中では大山、毛無山、那岐山しか登っていない。次はどの山を目指そうか。
縦走者の30分は我々にとってはかなり遠い。後でわかったことだが、30分というのは縦走者らの速度での話だ。ここまで登って来る途中で出会った縦走者たちはまるで駆け足のように登り、下るのだ。
僕のペースに合わせてもらって、休みやすみ扇山を目指す。
下ったり上ったりの道を辿ると、途中小さな沢に出会う。ここからが扇山なんだ。かなりな急坂もある。
もうすぐ扇山に着きそう。
かなり遠望がきく。
やっと扇山てっぺんに着く。
てっぺんといってもこんな峠だ。標識がなければ分からない。
現に先程すれ違った人に訊いたら、何のしるしもなかったとの返事だった。
昼飯は頂上でと思ったけど、ここではあまりに狭く、他の登山客の通り道をふさぐことになる。
少し星山方向に引き返してヒノキ林の木陰で弁当を開く。
ビールが旨い。350ml 缶3個、重かったけど持って来たかいがあったというもの。これだけ減ってくれれば帰りのリュックは軽くなる。
少し休んだ後の歩きはやけに足腰に傷みを感じたが、しばらく我慢して歩を進めるほどに痛みは和らいできた。これなら何とか帰られそう。
帰り道でまたエンレイソウ(延齢草)に逢う。縁起の良い命名だ。
誰の仕業か道端の木の枝にササ舟を残してあるのを見つける。乾き具合からみると今日の登山客ではなさそうだ。
子供のころの記憶をよみがえらせてくれる。峠の水飲み場のササ杓子。
連れの I さんが折り始める。
出来上がった見事な工芸品(?)を道のほとりのササの茎に刺しておく。手前に伸びる一枚の葉は支柱役のササの葉。
誰かが気づいて懐かしがってくれるに違いない。
ごみを残してはいけないが、これは許されるだろう。
この山の草木、撮ってもいいが採ってはいけない。こんな意味の注意書きを途中で見た。
駐車場に近づいたあたりで違う道を降りる。タニウツギも開きかけている。
約4時間の山歩きだった。下り坂が足にこたえた。
Sさんの運転で約30分。R313沿いの真賀温泉に着く。
いつものように往路帰路、すべてSさんに”おんぶにだっこ”の1日だった。ありがとう。